〜ハーフとダブルとバイリンガル育児〜



こんなイメージ?


 いつの間にか「ハーフ」という言葉が放送禁止用語(差別用語)になっていたようです。私はハーフという言葉から嫌なイメージは全く何も受けないので子供達がそう呼ばれることにも全然抵抗がないのですが、人によっては人間として半分とか、どの国でも半人前とかというネガティブなイメージを受けるようです。代わりに使われ始めたのが「ダブル」という言葉。日米の場合、「半分日本人・半分アメリカ人」ではなく、「日本人でもありアメリカ人でもある」というイメージでしょうか。

 ダブルの子はきっと皆似たような経験をしていると思いますが、うちのような日本語を話し見た目も日本人なちびっこ達でも日本では「ハーフ?」「外人?」とか「アメリカ人なの?」と言われ(お友達の全く悪意のない何気ない会話です)、アメリカに行くと「日本人」と呼ばれます。まだ小さいので子供達は全然気にしていませんが、ダブルの子は成長と共に「どこに行っても外国人扱い」「自分の居場所はどこ?」のように感じる子も多いようです。

 時の人で言えば、大坂なおみ選手。人生のほとんどをアメリカで過ごしアメリカ国籍も持っているのにアメリカでは日本人と呼ばれ、日本では「日本語話せないのに日本人なの?」なんて声も少なからずありますよね。日本だけでなくアメリカの記者会見でも「日本語話せないのに日本人っておかしくない?」なんて意地悪を言われたり。そんな時は「余計なお世話だー!」って私は1人叫んでいます(笑)

 ハーフではなく、ダブルという言葉が使われるようになったこの時代。子供達にはどこに行っても外国人ではなく、「どちらの国も自分の国だ!自分の居場所はここなんだ!」と心から感じてほしい。そのために役立つと思う日本語も英語も母国語レベルで話す能力は身につけて、そして両方の文化に親しんで育ってほしいと思っています。「自分の居場所を見つけること」、これが我が家のバイリンガル&バイカルチャー育児の目的です。

 バイリンガル育児については色々な考えがありますが、我が家は子供が生まれる前から7年間バイリンガルで育てています。子供がまだお腹の中にいる時は、私は日本語で、夫は英語で話しかけたり絵本を読んだり歌を歌ったり。子供が生まれてからも1歳半になるまでは私は日本語だけで、夫は英語だけで話しかけていました。1歳半というタイミングは言語爆発の時期です。それまで頭の中に蓄積された言葉が一気に口から飛び出してくる、赤ちゃんにとってそれはそれは楽しくて仕方ない時期なんです。今まで伝えたくても伝わらなくて泣くしかなかったことも言葉で言えて理解してもらえる、わくわく楽しくて大人の喜ぶ反応もとっても嬉しいんです。そんな時期は日本語・英語関係なしにとことん「赤ちゃんの話したい言葉」に付き合って一緒にわくわく感を楽しんでいます♪

 3人(もうすぐ2歳・4歳・6歳)の日本語・英語習得の過程をみていると、三人三様、1歳半の言語爆発の時期から3歳くらいまでは全然違う過程を歩んでいます。うちの子達に限らず、その子が家にいる時間の長さ、幼稚園や保育園に何歳から行くか、兄弟の人数、外国語を話す親の性格(口数の少ない人なのかよく話す人なのか)や子供と一緒に過ごす時間の長さ、子供の性格、海外に行く頻度、外国の子供と触れ合う機会の有無などなどで全然違ってくると思います。

 1歳半から3歳の間は、子供によって日本語が楽しい時期、英語が楽しい時期があって日本語力、英語力に波がありましたが、そんな波は気にせずに、新しい言葉を覚えたり文が作れるようになっていく過程の、子供の「わくわくして楽しい!」という気持ちを親も一緒に楽しむようにしました。せっかく子供が新しく覚えた言葉を嬉しそうに話しているのに「英語を話しなさい」とか「日本語を話しなさい」って態度をとると、子供の言語習得に大切な好奇心やモチベーションを摘み取ってしまう結果になってしまうと思います。

 我が家の場合、子供達が3歳になる頃にそういった波が自然におさまりました。自分達の中での快適なルールが出来上がるようです。親子間・姉弟間・日常の会話は英語で、保育園でしているような遊び(おままごと・ごっこ遊び・手遊びなど)や歌は日本語でしたいようです。家の外では日本の祖父母との会話、お友達と遊んだりなど全て日本語で、家の中では英語のカードゲームやボードゲームで遊び、英語の歌を歌ったり映画を観たりしています。時期的に海外旅行の間と旅行後はしばらく英語ばかりになったり、劇や歌などの練習でわくわくするお遊戯会前などはしばらく日本語ばかりになったりはありますが、一時的な興奮がおさまると数週間のうちに元の習慣に戻るようです。我が家の場合ですが、テレビがないことも役立っていると思います。テレビがない分、日本語だけに偏ることなく日本に住みながらも絵本や映画、様々な遊びを通して英語を楽しんで過ごす時間を十分に保てています。

 娘が春から小学生なので、今は日本語にも力を入れています。日常会話は問題ないのですが読み書きの練習もしています。国語は全ての教科の土台なので大切ですよね。学校の成績どうこうではなく、先生やお友達の話・授業がきちんと理解できるということは、自分に自信を持って前向きな気持ちで学校生活を送るのにきっと大切なこと。このへんのサポートは日本人である私の頑張りどころ。言語に限らず、家での生活と外での生活に大きなギャップがある場合、そのギャップに対してある時は架け橋になったり、ある時はあえて遠くから見守ったり。うまく立ち回れなくて自分の不器用さに衝撃を受けることも多々ありますが(笑)アメリカでソーシャルワーカーだった夫は本当に上手に、アメリカ滞在中は家族が暮らしやすいよう環境を整えてくれて子供達も私も伸び伸びと過ごしています。私も日本では家族にとってそんな存在になれたらと思うもなかなか力不足で(汗)けどまあそんな不器用な自分に気付いただけでも大きな進歩だと思っています(どこまでも前向き・笑)育児は子供だけでなく自分も育てる、「育自」とも言いますよね。子供の成長と共に今まで気づかなかった自分の長所、短所、変えたい部分が沢山見えてきています。まだまだ足りない所だらけの母だけど、子供と一緒に少しずつ成長していけたらなと思っています^^
★2018年12月★